中央銀行の役割のひとつは、通貨を安定させることです。為替(FX)相場があまりにも大きく変動して実体経済に悪い影響をおよぼすと考えられるとき、中央銀行は為替(FX)市場で介入を実施して、市場を安定させようとします。ここまでは教科書によく書かれていることですが、実際どのように為替介入が行われているのかについて、説明していきましょう

 

為替介入の権限は、日本では財務省がもっています。形式上は中央銀行である日本銀行にも一応の権限はありますが、実際は財務省がすべてを決めているのです。新聞などを見ると、「日銀が介入を実施」といった表現がありますが、これは、実に誤解を招きやすい表現だと言えるでしょう。たしかに、実際に介入を執行しているのは日本銀行ですが、それを指示しているのはあくまでも財務省なのです。米国でも日本と同様に財務省が介入の方針を決めて、FRBが執行を担当しています。ユーロ圏は日本や米国と異なり、ECBが決定権を握っています。欧州はユーロという共通通貨を使用していますが、それぞれの国ごとに財務省があるため意見を集約するのが困難という理由から、ECBが管轄しているのです。

 

ところで介入についてウォッチしていると、日米欧で介入のスタンスが異なることに気づきます。米国は基本的に相場のことは相場に任せるというスタンスを取っているため、あまり介入への意欲はありません。したがって、米国が介入に動いたときは、為替(FX)マーケットでよほどのことが起きていると考えてもいいぐらいです。ユーロ圏も、ECBが介入に対して消極的なので、ほとんど介入を行いません。

 

ところが日本は頻繁に介入を行ってきました。為替変動相場制を採用している主要国で、これほど介入好きな国はないといってもいいぐらいでした。2011年の民主党政権での介入を最後に近年は行われていませんが、日本は貿易立国であり為替(FX)相場が経済に与える影響が他国より大きいので、相場を安定させるために介入を実施せざるを得ないという事情があったのでしょう。日本では財務省のトップである財務大臣が介入を決断するわけですが、実際は財務省の役人が決めているといっていいでしょう。財務省トップの財務次官とそのスタッフです。財務省は基本的にドル円の動向に注目しているので、介入もほとんどがドル円で行われてきました。ユーロ円の動きがドル円に大きく影響をおよぼしていると考えられるときのみ、ユーロ円での介入を行うケースも見られました。

 

2010〜11年には1ドル=75〜85円での介入が行われましたが、それ以前の介入状況を見ていくと、ほとんどが1ドル=120円を中心にして、それより円安の水準で円買い介入、それより円高の水準では円売り介入が行われています。こうした結果から憶測すると、財務省は1ドル=120円を基準と捉え、そこからある程度の幅のなかで相場を安定させようとしてきたことになります。小さく見れば1ドル=110〜130円、大きく見ても1ドル=100〜140円というのが、大まかなターゲットゾーンではないかと思われます。

 

バブル経済頂点の1990年以降、2011年に東日本大震災が起こるまでの約20年間の間の円の最安値と最高値は、それぞれ1ドル=約80円と約160円でした。面白いように1ドル=120円を中心に上下しています。21世紀を迎えてから、リーマンショックが起きる2008年に1ドル=100円を切るまでは、ほぼ100〜140円の幅に収まっています

 

これは決して偶然ではなく、財務省が、この幅のなかで為替相場を安定させようとしてきた結果ではないか、と思われます。その意味では、ドル円相場はある程度管理相場に近い性格をもっている、と言えるかもしれません。2003〜4年に行われた介入では、1ドル=110円のレベルを超えて円高に向かおうとする手前から円売り介入が活発に行われ、1ドル=110円を突破してさらに円高に向かうと、介入が一段と激しくなりました。ここからも1ドル=110〜130円、または1ドル=100〜140円を財務省が意識していたのではないかと推測できます。

 

2011年を最後に、日銀による介入は行われていません。現在、財務省が介入レベルをどれくらいに設定しているかは定かではありませんが、ある程度の基準値を持っていることは十分あり得ると思われます。

 

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Source: FX常勝方程式国会議員今井雅人〜FX 初心者の口座比較や入門書に〜

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